キセジョのこぼればなしー寄生虫編Vol.3ー

キセジョのこぼればなし, ブルーコーナーマガジン 

寄生虫編Vol.3
先週はアニサキスについて書かせて頂きましたが、
今週は舞台を変えて、深海生物に寄生している寄生虫について書かせて頂きます。

 

 

 

ブルーコーナーの強みでもある、深海生物ですが、
ストックしている際に状態が悪くなり、残念ながら死んでしまう個体もいます。
死んでしまった個体の鰓のちらりっ
寄生虫の中には、鰓に寄生し吸血する種類がいます。
そのような寄生虫がたくさん付くと、宿主は貧血を起こし鰓が褪色する場合もあるのです。
(今回の個体は、褪色していませんでした。)

 

 

私が探している寄生虫はというと、深海に住むトリカジカに寄生するウオノエの仲間です。
ウオノエ類は、甲殻類の一種で等脚目ウオノエ科に属する生物です。
等脚目の別の科には、ダンゴムシ(オカダンゴムシ科、ハマダンゴムシ科etc) や
ダイオウグソクムシ(スナホリムシ科) などもいて、それらのお仲間になります。
そんなウオノエ類ですが雄性成熟の為、最初はオスとして生きています。
お目当ての宿主に寄生し成長過程で、同じ宿主に先に寄生している個体がいないなど条件が揃うとメスに性転換します。
そして、後から寄生したオスと繁殖する変わった生き物なのです。

 


話が横道に反れてしまいましたが、
トリカジカに寄生する寄生虫、名前を『トリカジカエラモグリ』と言います。

このトリカジカエラモグリ、
鳥羽水族館の森滝丈也さんが発見、その後2人の研究者の方との共同により新種のウオノエと判明したのです。
なんと学名もElthusa moritakii(エルツーサ モリタキイ)と森滝さんの名前が入っているのです。
自分の名前が入った寄生虫が存在するなんて、憧れます。

 

さてお目当てのトリカジカエラモグリですが、、、いました!!
しかも3個体!!

 

 

ウオノエ類は、最初に寄生したオスがメスに性転換する為、
メスの方がオスに比べ体が大きくなる場合が大半です。
なので写真の中、1番大きな個体がメス、残り2個体がオスなのかなっと。

 

見つけたトリカジカエラモグリは、標本として大事に持っております。
見たい方がいましたら、ブルーコーナーにご来店された際にお声がけ下さい。