寄生虫編Vol.4
現在、『真夏の深海教室2020』の募集を行っております!!
深海をテーマに各業界のスペシャリストの方々の講演会となっております。
8月13日にご登壇して頂きます、タカアシガニ職人の(株)光徳 山田隆継さんから
タカアシガニの寄生虫についてのお話しが聞けないかなと淡い期待を持っているキセジョです。
さて、先日お客様から「キセジョって何?」というお声を頂きました。
そういえば、そのことについてあまり書いていなかったと思い、
今回はキセジョについて書かせて頂ければと思います!!
キセジョとは、『寄生虫研究女子』を省略したものになります。
リケジョのように大流行しないかなと思っております。
そんな私ですが、学生時代はトラフグに寄生する寄生虫とマダイの免疫機能について研究しておりました。
このトラフグに寄生する寄生虫が、寄生虫に興味をもった大きなきっかけです。
私自身、幼いころから寄生虫が好きだったわけではありません。
興味もなく、むしろ気持ち悪いくらいに思っておりました、、、
そんなある日、1人先生(のちの恩師) からトラフグに寄生する寄生虫の話を聞きました。
この寄生虫は、Heterobothrium okamotoi(ヘテロボツリウム・オカモトイ)
通称エラムシと呼ばれ、トラフグのエラに寄生します。
このエラムシはトラフグの血液を吸血するため、寄生されたトラフグは貧血を起こし、最悪死んでしまいます。
ここまで聞くとよくいるような寄生虫ですが、興味をもった理由はここからです。
このエラムシ、トラフグ以外にもクサフグやマダイ、ヒラメにも寄生することが確認されています。
しかし、トラフグ以外が宿主だと成長することができず、落ちてしまうのです。
トラフグに寄生したときのみ、成長・繁殖ができるのです!!
そして、なぜこのエラムシはトラフグ以外の生物に寄生できないのか?
エラムシの何が宿主をトラフグと認識しているのか?
など、解明されていないことが多くあります。
この広い海、たくさんの生物が存在する中で、トラフグにだけ寄生するという
あまりにも生きることに対して不利と思える生物が、今もなお生き残っていることに興味を持ちました。
しかし魅力を教えてくれたエラムシですが、トラフグの養殖業界で大きな問題になっております。
アニサキスのように、宿主を変えて成長・繁殖するのではなく、トラフグのみで成長・繁殖ができてしまうため、
生簀内で大繁殖し多くのトラフグが死ぬ、商品価値が落ちるなどの被害が出ております。
まだまだ謎の多いエラムシですが、これからの研究によりこれらの被害がなくなることに繋がるはずです。