キセジョのこぼればなしーちょこっとこぼればなしー

キセジョのこぼればなし, ブルーコーナーマガジン 

 

 

先日、スタッフからある写真が送られてきました。
それがこちらです。
水槽に置いてある石から得体のしれないものが出ております。

 

 

この写真を見る前から、この岩には頻繁に糞なのか海草なのかよくわらかないものが付いてるなとは思っていたのですが、
少し時間が経つとなくなっていたのであまり気にしていませんでした。
私があの時、糞だの海草だの思っていた正体はこれだったのですね!!

 

で早速調べてみることに。
と思った矢先、写真をくれたスタッフが「これだ!!」と教えてくれました。
キセジョ、役に立たず、、、

 

どうやら『ボネリムシ』と言うそうです。
キタユムシ目ボネリムシ科に属するユムシの仲間とのこと。
岩の隙間からT字型になった管状の体を出し、このT字型の部分で砂を集め、
管状部分をベルトコンベアーのようにして岩陰の中にある体部分に砂を運びます。
ナマコと同じく、砂の中の有機物を食べるそうです。
となると、写真の時はお腹が空いて砂をかき集めようと出てきた瞬間だったのかもしれませんね。
砂引いてなくてごめんね。

 

 

そしてこのボネリムシの面白いところが、ここからです!!
ボネリムシですが、孵化したときはオスでもなくメスでもない雌雄未分化で、
このまま何も起こらず成長するとメスになります。
しかし!!
メスになる前に別のメスと出会い吸い込まれると、そのメスの体内で成長しオスになります。
オスはメスの体内に寄生する形となり、生殖器以外の器官が退化しメスに依存します。

 

深海に生息するミツクリエナガチョウチンアンコウ等のチョウチンアンコウ類のオスは
メスを見つけるとそのメスに噛みつき寄生することは有名ですが、
ボネリムシも同じような生殖様式を取るのですね。

でも、チョウチンアンコウ類のオスは自分で噛みついて寄生しますが、
はたしてボネリムシは吸い込まれたかったのでしょうか。
気が付いたら吸い込まれてオスになっていた、、、なんてことなのか。

 

ちなみに、、、
ブルーコーナーで使っている海水は全て目の前の海から引いた天然海水なので、
その海水と一緒にボネリムシの幼生が水槽に入り込み大きくなったのかな~っと勝手に思い込んでいます。
他のメスもいないので吸い込まれることもなく、すくすくと成長したのですかね。

 

 

思いがけないところから、不思議な生物がひょっこり現れますね。
以上、生き物って本当に楽しいなと改めて感じたキセジョでした。